HPはじめました。

 初夏のラーメン屋で「冷やし中華はじめました」の貼り紙を見かけるといつも、「ここの店主はいったいどういう気持ちでこれを書いたのかなあ」と想像してしまう。毎年のことなのに、いちいち律儀に「はじめました」と宣言するのは、「気持ちを新たに」ということなのだろう、とか。そう思って見てみると、「冷やし中華はじめました」には清々しい覚悟みたいなものが滲み出ている気がして、心なしか文字に勢いが感じられたりする。「初心忘るべからず」。その清々しさもまた夏の風物詩なのだ。決して惰性でやっているわけではないはずだし、ましてや貼り紙は使い回しであろうはずがない…と思いたい。

 というわけで、福島県高等学校演劇連盟は「HPはじめました」。いやあ、嬉しいです。やっと時代の波に乗れた気がする。「各地区コンクール情報のところをクリックしたけど、トピックスに飛ばないよ!」とか「トップページのトピックスの紹介からトピックスに行かないよ!」と早速友人から言われたけれど、いいんです。まず始めることが大事。韓国語にはまって勉強していた時期に、「シジャキパニダ」(「始めたら半分終わり」)という超ポジティブなことわざを知り、なるほど、始めたら半分は終わったようなものだ、勇気を持って始めるのが難しいんだ、と感心したことがある。もちろん、逆に終わらせるのが難しいこともある。例えば何時間も話し合った末の「例年通り」。つまり、慣習はなかなか変えられない。変化を嫌う日本人は特にそうだろう。そうして慣習は因習になる。だからこそ、「〇〇はじめました」にはワクワク感が伴うのかもしれない。これからトピックスは増え続けるだろうし、そのうち「脚本・台本」置き場も作りたい。全国の演劇仲間ともっとつながることもできるはずだ。 

HPをはじめたくらいで何を浮かれているのと思われるかもしれない。でも、何か新しいことが始まる瞬間の楽しさは、僕らを前進させてくれる。「冷やし中華はじめました」の貼り紙はいつの間にか消えたが、今年も秋のコンクール地区大会が始まり、新しい芝居が誕生する。とても楽しみである。(M)

 

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