創作!~会津地区の冬フェス~

 会津地区大会が迫ってきた。今年はプログラム作成係を仰せつかったので、生徒に表紙を描かせてこれから印刷。一足先に各校の作品の概要を拝見。生徒創作が5つ、顧問創作が2つ、出場校7校すべてがオリジナル作品です。このうち3つが県大会へ。開催地枠に感謝です。

 ところで、顧問創作は別として、生徒創作が多いのは会津地区の特徴と言えるだろう。ここ10年くらい、ほとんど既成作品は登場していない。他県でも地区大会ですべてが創作というのは珍しいと思う(県大会ならあり得る話だ)。それも毎年のように新しい「書き手」が登場するというのはすごいことなのである。その要因の1つとして挙げられるのは、5年前に方式を変えた2月の研修会ではないだろうか。

 それまで会津地区では、外部講師を招き演技とスタッフ(照明・音響・大道具)に分かれて2日間の研修を行っていた。もちろんそれはそれでとても有意義な時間であった。が、「照明も音響も大道具も、結局は芝居づくりの中で学んでいくのが最も効果的だ」という観点から、「短編演劇を創る」ことを主にした研修&発表会形式に変更したのだ。2日間の日程は次のような感じ。1日目は90分の「脚本講座」または「照明講座」(選択制)の後で、リハーサル研修(各校30分程度)。脚本講座は、事前に課題が出ており、提出された作品についての添削もある。リハーサル研修はすべての学校のリハーサルが公開され、講師による指導が入る。他校のリハーサルのやり方を見ることができて楽しいし、最低限必要なことはここで学ぶことができます。つまり「舞台監督研修」のようなものだ。ちなみにステージを使ってのリハーサルの時間以外はローテーションで場所を変えながら追い込み練習を1日中やるのです。

2日目が各高校20分以内の短編劇の発表。せっかくだからコンクールにしよう!ということで、審査員を招いての短編劇大会の開催となった。会津地区高校演劇連盟冬のフェスティバル、通称「冬フェス」。20分以内でキャストの人数の制限はないが、生徒創作に限る。ここがポイントです。既成作品も×、顧問創作も×。いわば、「完全な創作高校演劇の大会」です。顧問の力を完全排除した大会なので、どの学校も燃えます。真剣です。最優秀賞、優秀賞、創作脚本賞、スタッフワーク賞、審査員特別賞(個人賞)などがあります。審査結果発表なんか、なぜか秋コンより盛り上がる。ちなみに、白河市で行われるハイスクール劇王には、最優秀賞、優秀賞、創作脚本賞の中から推薦されて出場するという形になっているので、「ハイスクール劇王につながる大会」という位置づけにもなりつつある。これは燃えますね。

 断っておきますが、これは、創作脚本が既成脚本より価値が高い、という話ではない。が、「0の状態から芝居を立ち上げる」楽しさというのを、一度は味わってほしいと思う。「伝えたいこと」や「気になっていること」を自分の中から外に向かって取り出して見せるのはとても勇気が要ることだ。しかし、だからこそ、多少下手であっても、創作脚本には心に残る場面が必ずある。冬フェスで生まれる芝居を観ると、高校生の感受性や表現力、発想力に驚かされることがあって、とても勉強になる。

 

 秋のコンクールで上演される芝居のほとんどが地区大会で終わってしまう。しかし、会津地区の高校は、自分たちが0から創り上げた芝居を大切にしており、同じ演目で自主公演を盛んに行っている。芝居は変化し、成長し、成熟していく。そして、冬フェスを目標に、また0から芝居を立ち上げるという苦しくも楽しい作業に立ち向かっていく。「創作」は楽しい。(M)