東北観劇めぐり①~盛岡編~

 ちょっと前の話になりますが、73031日に岩手県の「県央・南盛岡ブロック大会」の審査に行ってきた。81日から始まる「さんさ踊り」の前夜祭(?)みたいなものだろうか、夜の街は賑やか。宿舎を一歩出ると出店が出ている通りでした。

 実は盛岡には縁がある。前任校で水泳部の顧問をしていた時に(自分はまったく水泳には興味はなかったが・・・というか泳げないのだが)、なぜか東北大会に出場が決まって盛岡にやってきた。1日目はじゃじゃ麺、2日目は冷麺を食べて初めての盛岡を満喫したのでした。二度と訪れることはないだろうと思っていたのだが、演劇の世界に入って初めての東北大会が盛岡だった。この時は忙しすぎてなんだかわからないうちに帰りの貸切バスに乗っていた。昨年の夏、審査員として招かれ、やはり忙しかったのと緊張とで、いつの間にか帰りの新幹線に飛び乗っていたという感じ。ちなみに、福島県のような「上位大会出場校への指導」というのはなく、全部の学校がロビーやらピロティで各審査員から指導をもらうために行列をつくる、ということが行われる。だから、閉会式が終わってからが長い。新幹線の時間が迫っているのにみんな真剣、特に県大会への出場がかなわなかった学校には丁寧に説明する必要があって、こちらも半ば言い訳しながら話をする。ということで新幹線には飛び乗らざるを得ないのです。さらに、今年の6月には「高校生セミナーサポート事業演劇部門」の脚本講座の講師として四度目の盛岡。この時はかっこつけすぎて予定外のことを思いつき、「今日課題を出した人は明日までに添削するぞー」などと言ってしまってホテルに缶詰めになった。自業自得。そして、今回昨年に続いて2度目の審査員。続けて呼んでもらったことにほっとしながら、つくづく盛岡には縁があるなあと、街中に居並ぶちょうちんの灯りを見ながら感慨に耽ったものでした。盛岡に来るたびに少しずつ変化していく自分というものを実感できている。これは幸せなことだ、様々な出会いと支えに感謝しなければならない。

 「東北観劇めぐり」と題しながら、個人のブログではないので、他県の他地区の上演に関して感想や結果をここで述べるのは控えるけれど、やはりその地区ごとのカラーがあって面白い。会津地区はもちろん、福島県の大会でもあまり見かけない演出や照明の使い方がごく普通に登場してくる。それが新鮮で勉強になります。確かに順位をつけなければならないのは嫌だし、結果発表の様子を壇上から眺めるのは苦痛でさえある。ただ、昨年はこの地区から選んだ学校が岩手県大会で最優秀となった。嬉しかったなあ。

 

ところで、他の審査員はたいていプロの方なので、演劇の見方もこちらから見ると「独特」。昨年も今年も、俳優枠の審査員の方が同じことを言っていたのが印象的だった。曰く、「多少矛盾のある台本でも、演技が下手でも、スタッフワークの失敗があっても、心をつかまれ、ぐっとくる場面が一つでもあれば、その芝居を推したい」。ともすれば台本のあら捜しをしてしまう自分を少し恥ずかしく思いつつ、そういう芝居づくりは逆に計算してできるものではないなと思う。でも、選んだ作品は確かに、胸に迫る場面が最後まで心に残った作品でした。この中から東北大会まで進んでくる学校があってほしい。(次回は「東北観劇めぐり」~仙台編~)(M)