東北大会を終えて~生徒講評委員会からの視点~

久しぶりの更新です。すみません。

2016年12月23日~24日、いわき市の「いわき芸術文化交流館アリオス」にて東北大会が開催されました。東北大会は東北6県持ち回りで開催され、6年に1回必ず回ってきます。前回は2010年に福島市の福島県文化センターで開催されました。

 実は、この2010年の東北大会は、翌年の7月末に行われる「全国大会」(全国高等学校総合文化祭)の「プレ大会」として位置づけられ、来る全国大会のために地元実行委員会は入念に準備と運営を進めてきました。しかし、2011年3月11日の東日本大震災にて会場が損傷してしまい、演劇部門の全国大会は県外開催を余儀なくされました。(演劇部門は香川県で開催。他部門は会場変更をしたものの、ほとんどが県内で開催できた。)というようなことがあったので、無事に福島県で東北大会を開催できたことは非常にうれしいものでした。ちなみに、その時の大会事務局を担当していた筆者にとって、全国大会が開催されなかったことにちょっと寂しい気持ちを持っております。(ちょっとじゃないかな…)

 さて、「生徒講評委員会」というものをご存じでしょうか?高校演劇は言うまでもなく舞台(芝居)を見るものです。観劇した老若男女のお客様は実にいろいろな感想をお持ちになります。しかし、舞台を発表する高校生と同じ高校生たちは果たしてどのような感想を持つことでしょうか?舞台を作る側からすると、作品の意図や演者の思いというものがきちんと伝わっているのかな、と不安になることが多々あります。そこで、「舞台上演部門」とは別に「講評部門」として正式な大会参加者と位置づけられ、発表される舞台を観劇して講評委員で感想や受けた印象、作品内容について討議をし、「講評速報」として討議された内容を文章にまとめて発刊していきます。

 今回、この東北大会にて生徒講評委員会担当として携わることになりました。東北各県から10名の講評委員が集まり、生徒たちは東北大会というレベルの高い舞台が見られるというワクワク感半分、しかし「講評文」を書くというドキドキ感半分を抱いて講評委員会の活動がスタートしました。活動の内容としては、講評委員は上演される13校すべての上演を観劇します。そして、各上演終了後、20分間という幕間で討議を行います。ロビーにて公開討論という形をとっていますので、お客様から見られての討論となります。さらに夜も夕食をとりながら討論を行い、二人(もしくは三人)一組となって討議された内容を深め、担当者1名が講評文を作成し、翌朝印刷をして発行します。

 と、文章で記すとけっこう簡単に見えるかもしれません。(13本全部の舞台を見られていいな、とか。)しかし、これが非常に大変なのです。だいたい20分(実質15分程度)の幕間で討論といっても、まず10名が感想を述べ、それからテーマ性などについて深めていきます。短時間ながら密度の濃い討議が求められます。そして出された意見をまとめて700字くらいの文章にするのですが、文章を書くことに慣れていないとなかなか大変です。(実はこの原稿を添削する引率顧問もなかなか大変ですが…。)

 しかし、この講評委員会という活動は思わぬ副産物を生み出します。それは、生徒たちの舞台を見る目というものが格段に上がることです。これまで演劇を見てきて、演技や演出の巧拙にばかり目がいって感想も表面的であったものが、この活動を通して作品のテーマ性であったり、時代や社会との関連であったりということを深く考察していく力がついていくのです。翻って自分たちの演出や表現方法についても、観客にどう伝えていくべきかといったところまで考えることになります。こうした「意識変革」が自分たちの学校に帰ってからの芝居作りに好影響を与えることは間違いありません。

 ですから、芝居づくり(というよりは演劇教育という視点に立って)は演者側の能力向上・育成のみならず、良き観覧者の育成ということにも力を入れるべきではないかと思うのです。(O)